広島での不動産売却（空き家）の相続対策と注意点！プロが教える成功術

広島県の空き家率と地域別特徴

広島県の空き家率は全国平均を上回り、平成30年時点で15.1％に達しています。空き家総数は215,600戸で、県内の約6.6戸に1戸が空き家という状況です。

地域別の特徴は以下のとおりです。

地域	特徴
都市部	・マンションやアパートの空き室が多い ・築年数が古い物件で空き家率が高い ・駅から遠い物件で空き家率が高い
中山間地域	・過疎化により一戸建ての空き家が増加 ・高齢化や人口流出で放置される実家が多い ・古民家の空き家が目立つ
沿岸部	・別荘や二次的住宅としての空き家が比較的多い ・定期的に利用される傾向がある ・地域コミュニティとの関わりが希薄

広島県では、これらの地域特性に応じた空き家対策を進めています。

相続による空き家発生と売却ニーズの増加

広島県では、相続を機に空き家が増加しています。高齢化に伴い親世代から子世代への不動産相続が増加していますが、遠方在住や維持管理の負担から、相続物件が空き家となるケースが多くなっています。

この状況下で、相続空き家の売却ニーズが高まっています。おもな理由は以下の3点です。

• 維持管理コストの削減
• 相続税や固定資産税の負担軽減
• 資産の現金化による有効活用

とくに注目すべきは「被相続人の居住用財産（空き家）に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。一定条件下で最大3,000万円の特別控除が受けられ、税負担軽減により売却を検討する相続人が増加しています。

この特例の活用で、空き家問題の解決と相続税対策の両立が可能となります。ただし、適用要件や手続きが複雑なため、専門家に相談することをおすすめします。

リノベーションによる付加価値向上

空き家の価値を高めるリノベーションは、広島の不動産市場でも注目を集めています。既存の建物に大規模な改修を行い、用途や機能を変更して性能を向上させる手法です。

リノベーションのおもなメリットは以下のとおりです。

• 解体や建て替えより短期間かつ低コストで実現
• ライフスタイルに合わせたカスタマイズが可能
• 広島の歴史ある街並みを保持しつつ内部を刷新

具体的な例として以下があげられます。

• 和室を洋室に改装して広々としたLDKを創出
• 耐震性能の向上と断熱性能の強化
• 最新の省エネ設備の導入やバリアフリー化の実現

リノベーションを行う際は、専門家のアドバイスを受けながら計画を立てることが重要です。

賃貸物件としての活用戦略

空き家を賃貸物件として活用することで、新たな収益機会が生まれます。とくに注目したいのは、DIY型賃貸借の導入です。これによって借主の意向を反映した改修が可能となり、物件の魅力向上と長期入居促進が期待できます。

実施のポイントは以下のとおりです。

• 契約書での改修内容や原状回復の明確化
• 改修範囲の柔軟な設定
• 賃貸借期間中の適切な管理
• 明け渡し時の取り決め

国土交通省が公開している「DIY型賃貸借に関する契約書式例」や「DIY型賃貸借のすすめ」（ガイドブック）を参考に、トラブルを防ぎつつ満足度の高い賃貸借関係を構築しましょう。

地域貢献を兼ねた空き家の利用法

広島の空き家を地域貢献に活用する方法には、多様な選択肢があります。

活用方法	具体例	期待される効果
コミュニティスペース	・子育て世代や高齢者向けサロン ・地域の歴史文化を伝える資料館	コミュニティの活性化
地域課題解決型施設	・子ども食堂やフードバンク ・学習支援教室	地域課題の解決
地域の魅力向上施設	・アーティストの制作・展示スペース ・地元産品のアンテナショップ ・観光案内所兼休憩所	地域の魅力向上

これらの活用方法により、コミュニティの活性化や地域課題の解決、地域の魅力向上が期待できます。広島の特性を活かした空き家活用は、空き家問題の解決だけでなく、地域全体の活性化にもつながる可能性があります。

広島市の空き家バンク制度の活用

広島市では「空き家等を活用した活動・交流拠点認定制度」を実施しています。この制度は、空き家や空き店舗を地域住民のために活用する場合に「活動・交流拠点」として認定し、支援を行うものです。おもな特徴を表にまとめました。

項目	内容
対象団体	・町内会・自治会 ・地区社会福祉協議会 ・広島型地域運営組織「ひろしまLMO」
支援内容	・運営に関する情報提供や助言 ・固定資産 ・都市計画税の全額免除（翌年度分）
認定要件	・空き家等が一定条件を満たすこと ・活動が地域住民のためであること

この制度を活用することで、空き家所有者の負担軽減と地域活性化の両立が可能となります。申請は毎年11月に受け付けており、各区の地域起こし推進課で相談や申請を行うことができます。

空き家の管理・メンテナンス方法

空き家の適切な管理は、建物の価値維持と将来の活用に不可欠です。効果的な管理・メンテナンス方法として、以下のポイントが重要です。

• 定期的な見回り：月1回程度建物の内外をチェック
• 換気と通気：湿気対策のため晴れた日に空気を入れ替え
• 清掃：室内外の掃除や庭の手入れを定期的に実施
• 設備点検：水道や電気・ガスなどの機能を確認
• 防犯対策：戸締まり確認やセンサーライト設置・郵便物回収

これらを継続的に行うことで、空き家の劣化を防ぎ、資産価値を維持できます。自身での管理が難しい場合は、専門業者への依頼も検討しましょう。適切な管理は、将来の売却や活用に向けた重要な投資となります。

解体・更地化のメリットとデメリット

空き家の解体・更地化のメリットとデメリットを簡単な表にまとめました。

メリット	デメリット
・売却しやすくなる ・維持管理の手間が省ける ・場合によっては固定資産税が安くなる	・解体費用（100～300万円程度）がかかる ・固定資産税が上がる可能性がある ・再建築時に制限を受ける可能性がある

判断の際は建物の状態や売却予定時期、資金状況などを考慮しましょう。たとえば、老朽化が進み早期売却を希望する場合は更地化を、比較的新しい建物でじっくり買主を探せる場合は建物付きのままでの売却を検討するといった具合です。

最終的な判断は、不動産の専門家に相談しながら行うことをおすすめします。

相続税と譲渡所得税の計算ポイント

相続した空き家の売却では、相続税と譲渡所得税の両面を考慮する必要があります。相続税は相続時の不動産評価額が課税対象となり、空き家の場合は評価額が低くなる可能性があります。

譲渡所得税については、相続開始から3年以内の売却で「取得費の特例」が適用可能です。この特例では、相続税額の一部を取得費に加算でき、譲渡所得税の軽減につながります。計算方法は以下のとおりです。

加算額=譲渡した相続財産に対応する相続税額×譲渡価額÷相続時の価額

ただし、譲渡益を超える場合は譲渡益相当額が上限となります。特例適用には条件があり、確定申告時に必要書類の提出が求められるため、専門家への相談をおすすめします。

3,000万円特別控除の活用

空き家売却時の「3,000万円特別控除」は、相続不動産の有効活用に重要な特例です。この特例により、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、税負担を大幅に軽減できます。

おもな適用条件は以下のとおりです。

• 売却対象が居住用財産であること
• 以前の住居は3年以内に売却すること
• 過去2年間に同様の特例未使用
• 親族間売買でないこと

取り壊し後の敷地売却には追加条件があり、他の特例との併用にも注意が必要です。確定申告時には、居住実態を証明する書類の提出も求められます。

専門家に相談しつつ、この特例を適切に活用することで、効果的な資産活用が可能となります。

空き家売却における法的リスクと対策

空き家売却には法的リスクがあり、適切な対策が必要です。おもなリスクと対策は以下のとおりです。

• 権利関係の不明確さ：相続登記を速やかに行う
• 土地の境界問題：隣地所有者と境界確認書を作成
• 建物の瑕疵：専門家による建物診断を実施し、重要事項説明書に記載
• 残置物の処理：売買契約書に取り扱いを明記し、確実に撤去
• 近隣トラブル：売却前に近隣関係を確認し、必要に応じて対応

これらのリスクに適切に対処することで、円滑な空き家売却が可能となります。